当記事では、長崎孔子廟・中国歴代博物館の館内スポットについてご紹介しています。長崎孔子廟は、1893年(明治26年)に清朝政府と在日華僑が協力して建てたもので、日本で唯一の本格的な中国様式の孔子廟です。
場所 | 長崎孔子廟・中国歴代博物館 |
住所 | 長崎県長崎市大浦町10-36 |
電話 | 095-824-4022 |
料金 | 大人 660円 / 高校生 440円 / 小中学生 330円 |
時間 | 開館 9:30-18:00(最終入館 17:30) |
長崎孔子廟の館内見どころスポット
黌門(がくもん) / 泮宮門(はんきゅうもん)
孔子廟入口の小門を黌門。西側を泮宮門といいます。
碧水橋(へきすいきょう)
- 櫺星門(れいせいもん)
この石の門がれい星門です。孔子廟の大門(正門)になります。この門が日本の鳥居の原型です。
- 楷樹(かいじゅ)
れい星門の両隣にあるのが別名孔子木といい、孔子に関係するところには必ず植えられている樹です。向かって左側が雄木、右側が雌木で、本廟創建の明治26年に植えられました。
太湖石(たいこせき)
築山の石は、庭園の装飾用として最も重宝される太湖石です。中国江蘇省太湖に産する珍しい石で、江蘇省より寄贈されました。
福建石獅(ふっけんせきし)
創建90周年を記念し中国福建省から贈られた、恵安県産の石獅子(ライオン)です。
龍蝠(りゅうふく)
儀門両側一対の石碑は、左が唐代の呉道子が詠んだ孔子賛美の詩文。右が、宋代の米蒂の孔子賛美の詩文です。碑を背負っている龍王の長男で、特に重いものを好んで背負う”龍蝠”といいます。
儀門(ぎもん)
正門となるこの門を儀門と言います。昭和初期の台風によって破壊されましたが、1967年(昭和42年)に再建したもので、本廟の正式な内正門(二の門)です。元来中国の廟の門戸は3ヶ所以上の奇数をもって作られ、中央は神さまと皇帝以外の通行を禁じて平常は閉ざされている神聖な門です。
宥坐之器(ゆうざのき)
「宥坐之器」とは座右において戒めとする器という意味。「虚なればすなわち傾き、中なればすなわち正しく、満つればすなわち覆える」、ほどよく水を入れないと器はひっくり返ってしまうということです。
孔子は魯の桓公の廟に参詣したとき、宥坐之器をさして弟子たちに「満ちて覆らない者はいない」と諭しました。無理をすることや満ち足りることを戒め、中庸の徳、謙虚の徳の大切さを教える器です。
さてあなたは上手に水を注げますでしょうか。
両廡(りょうぶ)
左右の廻廊を「両廡」といい東廡と西廡とにわかれています。元来孔子の教えをよく学んだ弟子達で、学問・人格に優れた賢人・儒人の地位にある者を祭る祠堂です。
論語(ろんご)
孔子の言行や弟子たちとの問答を、孔子没後50年〜100年かけて編集したもので儒学という学問の基になったものです。全20編、約500章からなり、総字数は16018文字。
本病では全文を台湾省花蓮産の大理石に彫り、両廡の壁に掲示しています。
72賢人(72けんじん)
両廡の前・横の石像が孔子の高弟72賢人で、「六芸」に通じた賢者たちです。石像は等身大で重量1.8トン。それぞれ忠実に基き北京美術工場で彫刻したものです。台座には前面に賢人の名、後面に彫刻した制作者の名が記されています。
※「六芸」とは徳、知、体に秀でた6つの才能のことです。
徳…礼(礼儀)・楽(音楽)
知…書(書道)・数(数字)
体…射(弓の技術)・御(馬車の運転)
両廡の屋根の飾り瓦
両廡の棟上にある飾り瓦は吉祥を表す架空の動物達で、建物を火災などの災いから守っています。
本廟の飾り瓦は、棟の前の方から
【1】鶏にまたがった仙人 / 【2】龍 / 【3】鳳 / 【4】獅子 / 【5】海馬 / 【6】天馬 / 【7】押魚(おうぎょ) / 【9】獬豸(かいち) / 【10】斗牛(とぎゅう) / 【12】戧獣(そうじゅう)
を飾っています。
獅子(しし)
石段両脇の雄雌一対の獅子像は、曲阜孔子廟の孔府門前の獅子を模したものです。重量2.4トン。
欄干頭の龍
大成殿を囲む欄干頭の龍は殿中に祀られている孔子の方向を向いています。
深海(たんかい)
大成殿を囲む四隅に鎮座する石像は龍王の六男で、水を好む”深海”といいます。本来は排水口の役目をするものです。
御道石(みどうせき)
大成殿前の石段中央にある一対の龍を彫ったものを御道石といい、北京紫禁城のものを模しています。儀門同様に神様と皇帝だけが通る道で、清朝皇帝は御輿に乗ってすすんだといわれています。石の幅150cm、長さ273cm、厚さ60cm、重量6.0トン。
角端(かくたん)
吉祥を表す想像上の動物、いわゆる一角獣です。孔子にお供して話の善悪を聞きわける獣だと言われています。重量2.5トン。
石人・翁仲(おうちゅう)
一対の石人は孔子の弟子で翁仲といいます。左右いずれも同一人物で、笏(しゃく)を持つ文人像と、剣を持つ武人像の姿をしており、文武両道をかねそなえた人であることを表しています。重量0.8トン。
華表(かひょう)
宮殿や陵墓などの前に建てられる装飾用の一対の石柱です。皇帝を象徴する龍が、一つは国の政治を、もう一つは市民の暮らしを監視監察していることを表しています。
大学全文
御道石上部の石碑は大学全文。学問する人の目的、心得など、学問を志すものに適切な言葉が順序だって記されています。裏面は唐朝玄宗皇帝の孔子詠嘆詩です。
大成殿
正面の木造神殿が孔子廟正殿で大成殿といいます。1893(明治26)年に建立以来百余年の風雪と原爆の衝撃に耐え、古式を今に伝える貴重な文化財です。
軒下の幕に描かれている「有数無類」は「数えありて類無し」と読み、身分を問わず、学ぶものは誰でも入門できる。教育によって、どういう人にでもなり得る!ということを簡潔に述べています。
屋根の鳩(はと)は現代は平和の象徴ですが、孔子の時代では一番言うことを聞かない悪い生き物とされており「その鳩でも平等に学ぶことができる」という意味を表しています。
孔子座像(こうしざぞう)
孔子は紀元前551年、中郷の春秋時代に魯国の曲阜に生まれた思想家で、72歳で没しました。没後、弟子たちによりその教えが「論語」としてまとめられ、儒学の基となりました。
学問の神様として崇められ、今日では受験生たちの参拝も絶えません。
大成殿に祀られた孔子座像は曲阜で御霊入れされたもので、高さ2m、座像としては国内最大の大きさです。
麒麟(きりん)
聖人が世に出ると現れるといわれる中国古来よりの想像上の端獣で、草木を踏みつけたり生のものを食したりしないといわれる仁の心の厚い動物。姿は鹿に似て大きく、尾は牛、ひづめは馬、背毛は五彩で、毛は黄色。向かって右を麒(雄)、左を麟(雌)といいます。